最近、がんに対する免疫療法が手術、放射線、抗がん剤に続く第4の治療法として注目されています。がんの治療において最も重要な主役は抗がん剤ではなく免疫システムにあると言われています。
免疫とは生体が異物を排除して自分を守ろうとするシステムです。がんも、元々は自分の細胞から発生したものとはいえ、生体にとっては異物であり、生体はこのがんに対しても免疫反応を起こしてがん細胞を排除しようとする機能を持っています。
がん細胞に対して攻撃をする免疫細胞はリンパ球です。健康な人でも1日あたり数千個のがん細胞が発生していると言われますが、これらはNK細胞というリンパ球が体内をパトロールしながら、発生したがん細胞をやっつけてしまいます。しかしがんが大きくなると生体内のリンパ球だけではがんをやっつけることは難しくなります。免疫療法はこれらのリンパ球を体外に取り出しリンパ球を分離して活性化し、数百倍にまで増殖して患者さんに点滴で戻す治療法です。
現代医学(西洋医学)がおこなうがんの治療には手術、放射線、抗がん剤のいわゆる3大治療があります。これらはいづれも外部から体に加える治療法でがん細胞を攻撃するものですが、がん細胞のみならず正常細胞にも影響があるため、時に重篤な副作用が出現します。免疫細胞療法は人体がもともと持っているリンパ球による免疫作用によってがんを攻撃するものです。リンパ球は自分のものを使うので、免疫細胞療法には現代医学の3大治療とは異なりほとんど副作用がありません。このためがんが進行して体力が落ち、3大治療ができないような場合でも、免疫療法を行うことが可能です。
しかしながら、いままでの免疫療法の最大の問題点の一つは保険適応がないために費用が非常に高額(あるクリニックでは1クール5回で約160万円〜200万円)であった点です。当クリニックではできるだけ多くの患者さんに免疫療法をお受けいただけるように費用を1クール(5回)90万円から100万円程度に抑えることが可能となりました。
免疫療法をご希望の方は、まず当クリニックにお電話をいただき、がん相談の時間(毎週月・火曜日、午後6時〜7時30分)にご予約をお願いいたします。担当医師から免疫療法に関してご説明をし、十分に納得していただいてから免疫療法を実施させていただきます。
Q:免疫療法の種類にはどのようなものがありますか?
A:当院でおこなう免疫療法は、以下の4種類です。
1.アルファ・ベータT細胞療法
患者さんから採取した血液中のリンパ球に、抗CD3抗体とインターロイキン-2を加えて活性化し増殖させたアルファ・ベータT細胞を患者さんの体内に戻すものです。アルファ・ベータT細胞は増殖しやすく、最も行われている免疫細胞療法です。
2.NK細胞療法
患者さんから採取した血液中のリンパ球に、高濃度インターロイキン-2と各種抗体を加え、特殊技術によりNK細胞を患者さんの体内に戻すものです。活性化されたNK細胞の純度は平均65%です。
3.ガンマ・デルタT細胞療法
患者さんから採取した血液中のリンパ球に、ゾレドロン酸とインターロイキン-2を加えて活性化し増殖させたガンマ・デルタT細胞を患者さんの体内に戻すものです。ガンマ・デルタT細胞は採血時の細胞数が少なく、患者さんにとっては増殖が困難な場合があります。
4.CTL療法
患者さんから採取した血液中のリンパ球を、患者さんの胸水や腹水などから得られたガン細胞で刺激し、自己のガン細胞を特異的に攻撃するCTL細胞(cytotoxic T lymphocyte:細胞障害性T細胞)を採取し、アルファ・ベータT細胞療法の技術を組み合わせて活性化し増殖させて患者さんの体内に戻すものです。この療法をおこなうためには患者さん自身のがん細胞が必要となります。
Q:免疫療法はどのような種類のがんでもできるのですか?
A:ほとんどすべてのがんが対象となります。手術後のがんの再発や転移がある場合やその予防から、進行したがんでいわゆる3大治療が効かなくなった場合まで免疫細胞療法をおこなうことができます。ただし、血液のがんの一種であるT細胞型悪性リンパ腫とT細胞性白血病ではTリンパ球ががん化していますので免疫細胞療法をおこなうことはできません。そのほか、自己免疫疾患の患者さん、臓器移植後免疫抑制剤を使用している患者さんも原則としてできません。
Q:免疫療法の治療効果について教えてください。
A:医学研究の権威ある医学雑誌“ランセット”に発表された論文では、肝臓がんの手術後に免疫細胞療法をおこなった患者さんでは、おこなわなかった患者さんに比べて再発率が低下し、さらに再発までの期間が延長したと報告されています。また、進行胃癌において、抗がん剤・放射線治療のみの患者さんと免疫細胞療法を併用した患者さんとでは、免疫細胞療法を併用した患者さんで明らかに5年生存率が延長したという報告があります。そのほか、脳腫瘍、腎臓がん、前立腺がん、子宮頸がん、胃がん、大腸がんなどにも効果があると報告されています。
免疫細胞療法ががんを縮小させる効果は、抗がん剤や放射線療法に比べると少ないと考えられますが、がんの増殖を抑制し腫瘍と共存できる形で患者さんの生存期間を延長させることができると思われます。更に、手術・放射線・抗がん剤治療と組み合わせることで治療効果が高まると推測されています。また、免疫細胞療法によって患者さんの免疫力が増強されるため患者さんのQOL(生活の質)が改善すると考えられます。
Q:免疫療法に副作用はないのですか?
A:これまでの報告では一過性の発熱が出ることがありますが、それ以外の重大な副作用は認められていません。元々自分が持っているリンパ球を体内に戻すのが免疫療法なので、その意味でも副作用は軽微であると考えられます。
Q:免疫療法の費用はどれくらいですか?
A:当院では免疫細胞療法を多くの患者さんに受けていただけるよう、最小限の費用に抑えました。
以下が各免疫療法の費用です。
●アルファ・ベータT細胞療法:180,000円(1回分,1クール5回)
●NK細胞療法:200,000円(1回分,1クール5回)
●ガンマ・デルタT細胞療法:200,000円(1回分,1クール5回)
●CTL細胞療法:200,000円 (1回分,1クール5回)
標準的なアルファ・ベータT細胞療法ですと、1クール5回ですので1クールの費用は180,000円*5=900,000円となります。活性化したリンパ球は2週間ごとに患者さんに点滴をして体内に戻します。
Q:免疫療法は途中で中止することもできるのですか?その場合、費用はどのようになりますか?
A:治療途中で治療の延期・中止を希望される場合は、凍結したリンパ球の増殖を開始する前(約2週間前)にご連絡いただければ、中止分の金額をお返しいたします。ただし点滴の予約日に御来院できない場合は延期・中止はできません。






